JACオートキャンプ指導者が顧問をする高校アウトドア部の活動を報告
〜化石発掘キャンプ編〜
高校教諭でアウトドア部顧問をしているJACオートキャンプ指導者からアウトドア部の活動の様子を報告いただいた。今回は、部員の提案が実現した「化石発掘キャンプ」を実施した。そのレポートをお届けする。
私が顧問を務めているアウトドア部では、現在高校1年生20名、高校2年生20名の計40名で活動している。5月GW明けをもって3年生3名は受験のため一旦部活を離れ、新体制での活動となった。1,2年生40名という、部活動の体制としても未知の領域である人数での活動になり、顧問としても新たな挑戦の年となった。
今回は、「化石発掘キャンプ」。化石や自然科学に興味のある部員が揃い、福井県大野市にある和泉前坂家族旅行村前坂キャンプ場へキャンプをしに行った。1泊2日、というのが非常に勿体ないほど充実したキャンプであったが、そもそも「キャンプ場で化石が掘れる」というのも、また珍しい体験プログラムで、管理人からも、「よく見つけてきましたね(笑)」と言われるほどであった。
アウトドア部の夏のキャンプ合宿一発目のキャンプとして、非常に有意義な時間となった。この後にも、アウトドア部の合宿は複数回予定している。今後のアウトドア部の夏の活動にも、引き続きご注目いただきたい。
リアルカセキホリダー!化石発掘キャンプ!?
武蔵越生高等学校 アウトドア部
顧問 髙橋皓正(公認オートキャンプインストラクター)
部長 奥冨碧 織田陽大
この記事が始まる少し前のお話です。
2024年3月下旬。
このキャンプが行われることになったそもそもの発端は、実は約半年前に遡る。3月下旬、アウトドア部では新入生向けのキャンプ体験会のイベントを主催していましたが、実はその時、まだ高校1年生だった野村君と、当時中学3年生だった小川君の2人が、「化石を発掘できるキャンプがしたい!」という唐突な提案。
さすがに無茶では?……と思ったのですが、探してみるとまさかまさかの「化石発掘が体験できるキャンプ場」を発見してしまい、メンバーを集め、この旅の企画が始まります。そして今回、私たちは福井県大野市にある和泉前坂家族旅行村 前坂キャンプ場に行ってきまた。さすがは福井県、日本で最も化石の採掘量が多い「恐竜王国」であるということも相まって、化石発掘ができるキャンプ場も、福井県にありました。
「恐竜」というと、男のロマンであり、様々なアニメや特撮作品などにもその題材としてモチーフに起用されることがあります(丁度、近日上映されるクレヨンしんちゃんの映画にも出てくるそうです)。もともと太古の生物や恐竜が好きだったことや、その時ちょうど放送されていた「王様戦隊キングオジャー」の話の中で、当時私が見ていた、名だたるスーパー戦隊の中でも一番好きな「獣電戦隊キョウリュウジャー」が出ていたことも相まって初めは冗談のつもりで先生に伝えたけれどそれが現実になり、念願の私の夢が叶いました。車の中で先生も言っていましたが、「とりあえず何でも言ってみるもの」だとつくづく思いました。しかし実現するのもまたすごい…。
さて当日。約6時間かけて、前坂キャンプ場に行きました。受付を済ませ、バンガローの中に荷物を運び、体験プログラムに移りました。先生と受付の方が話していましたが、実は他の宿泊の方がいなかったらしく、なんと事実上の貸し切りになってしまったそう。翌日の朝が雨だったことも踏まえて、なんとテントサイトからバンガローに変えてくれたとのことでした!本当にありがとうございました。
体験プログラムでは、釣り堀&魚の手づかみ、化石発掘体験、バームクーヘン作り、アイスクリーム作り、ドラム缶風呂などと、様々な体験ができるのがとても魅力的だと思いました。その中でも化石発掘体験は他のキャンプ場ではなかなか体験することが出来ずこのキャンプ場を選んだ理由もそこにありました。今回はお目当ての化石発掘体験と釣り堀を行いました。化石発掘体験4人、釣り堀3人に分かれて、体験しました。化石発掘体験では、受付から安全メガネとハンマーが配布され、指定の場所で化石発掘を体験するプログラムでした。自分で良さそうな石を探し、ハンマーで石を上手く割、化石を発掘するのが楽しかったです。実際、たくさんある石や岩の中から化石を探す、というのはかなり難しく、1時間体験してみた結果、残念ながら化石は見つかりませんでしたが(化石らしきものはいくつか見つかりましたので、持って帰りました)、楽しんで体験できたので良かったです。釣り堀では、釣り竿と練り餌が配られ、釣り体験を行いました。1人2匹まででしたが、予想外に早く釣れたので、みんな大喜びでした!約1時間体験した結果、合計約10匹ほど釣れました。釣った魚の内臓などを係の人がやってくれ、こういったサービスも充実していました。化石発掘体験と釣り堀体験が終わった後、近くの九頭竜川で泳いだり、向こう岸に行き化石を探してみたりなど、みんなで遊べたのが楽しかったです。とにかくこの川は非常に透明度の高い川なのですが、もっと綺麗な時もあるとのことでした。川遊びは、いつやっても楽しいです。
そして待ちに待った夕食の時間です。今回のキャンプは、火から食材、トングなどの必要な備品と食材がセットになっているプランだったのでとても助かりました。注目はなんといっても、みんなで釣った魚です。炭火で塩焼きにして食べました。一匹丸々を食べることは、普段はあまりないからこそ、満足感のあるメニューでしたし、その裏では誰が一番上手く食べれるかの勝負が急遽始まりました。私は食べるのが上手ではありませんでしたが中にはとても上手な子もいました。自分たちで釣った魚を自分たちで調理して食べる、という経験も、普段なかなかできないことでした。命に感謝です。
他にも用意された肉や野菜の他に、先生が持ってきてくれた牛タンも食べました。
お腹が膨れてきた頃に花火をしました。ろうそくを忘れてしまいましたが、サラダ油とねじったキッチンペーパーを浸漬させて、アウトドア部らしい方法で解決しました。花火は安定の楽しさで、線香花火をねじって火をつけ大玉を作ったりして、高校生なりの楽しみ方をしました。その後みんなでバンガローに集まり、私が参加した時では恒例のUNOをして盛り上がりました。10時半に差し掛かった頃にUNOを切り上げ各自バンガローに戻りました。私達はすぐに寝ようとしましたが、1年生はまだ騒がしく、他のお客さんがいなかったのが幸いでしたが、消灯時間以降は静かにする、という、キャンプ場での当たり前のルールとして私達2年生が教えて行かなくてならないことでした。ただ、自分たち以外誰もいないキャンプ場、というのも、すごく静かで、「本当に夏休み中のキャンプなの?」と違和感を覚える光景でした。
2日目は豪雨の中で始まりました。バンガローに変えてくださったことで、非常にスムーズに朝の作業が進んだものの、バンガローの中はすっかり冷え切り、とても夏のキャンプとは思えないほど寒かったのを覚えています。朝ご飯は焼きおにぎりとオレンジジュース、ヨーグルト、パン、玉ねぎのスープの計5つでした。冷えていたので焼きおにぎりや玉ねぎのスープは格別に美味しかったです。
食事を済ませた後、雨の中速やかに車に荷物を乗せ、福井県立恐竜博物館に向かいました。恐竜博物館に着いた時には、すっかり晴れていました。ここは、主に恐竜を中心とした博物館で、動くジオラマや、福井で取れた化石など様々な化石が集まっている所です。博物館内は中央に大きなエスカレーターがありそこから色々な階層を見ることが出来て感動しました。エスカレーターを降り、恐竜のエリアについた瞬間また感動が込み上げて来ました。三畳紀、ジュラ紀、白亜紀、世界各国に生きていた恐竜達が今ここに集結しています。巨大な恐竜達が出迎えてくれた感覚でした。様々なエリアを見た後、特別展に向かいました。とても貴重な化石や文献などもあり面白く楽しかったです。博物館の周りには恐竜関連のオブジェがたくさんあり、その中でも一際目を引いたのは、ジュラシック・ワールドという映画に登場するティラノサウルス・レックスのレクシーが作中で受けた傷を忠実に再現したオブジェです。そのオブジェの前で欅祭(文化祭)の告知動画を撮影しました。僕の恐竜愛の詰まったものになっているので投稿された際にはみなさんチェックしてみてください。最後に1年生の3人は化石発掘体験をしました。なんと3人とも見事化石を掘り当てることができて、とても貴重な体験になりました。化石体験をし、我々は車に戻り博物館と別れを告げ、埼玉県を目指しました。
今回のキャンプで驚いたことの1つ。
それは、夏にキャンプをするキャンパーの明らかな減少です。今回は夏休みに入って間もないキャンプでしたが、それでも「貸し切り」というのは中々珍しいようでした。やはり、暑さが関係しているのか、今、この暑い中でキャンプをする人も、減少しているのでしょうか…。少なくとも今回はバンガローに変更していただけましたが、この暑さや天候の変化にも対応するとなると、今度は荷物も増えていく。積める荷物の量にも限りがあるので、なにかいい方法がないものでしょうか……。それでも、どんなに暑くても、日焼けをしても、夏のキャンプ、やっぱり最高です。
今回は、「化石発掘キャンプ」と題してのアウトドア部の夏の活動をお読みいただき、ありがとうございました。先生も言ってくれた「何でも言ってみるもの」。これは、アウトドア部が活動するにあたって、大事にしていることの1つです。アウトドア部は、普通の運動部のように、定期的な大会や練習試合があったりはしません。どんな企画をやるのか、どんなキャンプに行くのか、どこの山に登るのか、全部「言った者勝ち」になるわけです。自分たちの「やりたいことができる」それが、アウトドア部の魅力の1つです。次回以降も、アウトドア部の夏のキャンプの記事が続きます。どれもこれも、部員の要望をすべて実現したキャンプになります。どうぞお楽しみに!
文責:1年 小川蒼生
2年 野村琉衣