新潟県アウトドア協会発足

新潟県アウトドア協会発足

◾️設立記念講演を開催

7月5日、一般社団法人新潟県アウトドア協会(新潟県新潟市・代表理事紫竹陽介氏)の設立記念講演が三条市立大学で開催された。
冒頭、同協会の活動について代表理事の紫竹氏から協会発足の目的などが説明された。すでに活動を行っている分科会の発表では、メーカーで構成する「ものづくり分科会」を代表してユニフレームの田瀬明彦事業部長、キャンプ場で構成される「フィールド分科会」は大厳寺高原キャンプ場を管理する「湯米心(ユーマイハート)まつのやま」村山英明常務から活動報告が行われ、最後にスノーピークの山井太代表取締役の記念講演が行われた。

左からご同協会紫竹陽介代表理事と発起人5社代表、「スノーピーク」山井太社長、「パール金属」高波文雄社長、「新越ワークス(ユニフレーム)」山後佑馬社長、「モチヅキ」望月聡社長、「ベルモント」鈴木義彦社長

◾️新潟県アウトドア協会 代表理事紫竹陽介氏

今回発起人となった新潟県にあるアウトドア5社で、およそ国内のアウトドア市場の50%を占めるなど、新潟県はアウトドア産業の集積地。地域にあるアウトドアメーカーが集まり、このアウトドアに特化したこの地域を盛り上げていくことでアウトドア全体の活性化の一助になればと考えている。
具体的な活動として、一つはこの地域のアウトドア業界をつなげることで、ネットワークづくりをしていきたい。もうひとつは行政との連携。アウトドアに関わる行政の窓口は、観光、産業、農林関係など多岐にわたる。一方で行政側からアウトドアへの接点を求めても、その窓口がなかった。行政の窓口をまとめることと、この地域のアウトドアの「ハブ」窓口となることがこの協会の一つの役目だと考えている。
現在、観光や地域の振興、また防災活動などのイベントを行っており、今後もこうしたことを通じて地域のアウトドアの活性化を図っていきたい。

◾️分科会

分化会の発表では、「ものづくり」「フィールド」「ガイド」に分かれ発表が行われた。
「ものづくり分科会」ではユニフレーム事業部の田瀬明彦事業部長がこれまでの活動を発表。地域の企業が集まり、どのようにモノづくりがおこなわれているかを伝える講習が行われたこと、また課題として、人手不足 事業継承、安全基準、中国など海外市場について挙げられていることは報告された。
「フィールド分科会」では、大厳字高原キャンプ場の指定管理を受ける「湯米心まつのやま」の村山英明氏が発表。新潟県内にある130のキャンプ場の内100か所が公営であることで同じ課題を持つ新潟県内のキャンプ場が集まった。現状の課題をもちより、今後マナーの啓蒙などに取り組んでいくことが報告された。

◾️記念講演 スノーピーク 山井太代表取締役

今年の2月にアメリカでスノーピーク ロングビーチ キャンプフィールド(ワシントン州)をオープンさせた。北米のキャンプ場などではピクニックテーブルが備えられているが、これがあることで、日本のキャンプのように自分の道具を使って楽しむことができない。新しくオープンさせたキャンプ場では、自分の道具で楽しめるようピクニックテーブルは置かず、露天風呂を備えた温浴施設を備えるなど日本のキャンプスタイルを楽しめるような施設にしている。
90年代に雑誌「ビーパル」でスノーピークが紹介された時、初めて「燕三条」の企業として紹介され、それ以降、この地域にあるアウトドアメーカー各社の努力で今のアウトドアブランドの集積地としての燕三条がある。

現状のこの地域のアウトドア業界に対しては3つのお願いしたい。
1つが、アウトドア用品の関係者には実際にキャンプをやって欲しいといこと。私は恐らくアウトドアの関係者で一番キャンプをしていると自負しているが、最近、アウトドアに携わる人がキャンプをあまりしなくなっているように感じる。実際にキャンプに行って、自分が直接経験したり、感じたことを製品にフィードバックすることでブランドが生まれてくると考えているからだ。
2つ目は、自社のオリジナルであることを大切にして欲しい。最近ではコピー商品が出回るようになってきているが、そうしたコピー商品が燕三条から出ることは「燕三条」のブランド全体にも傷がつき大きなマイナスとなるからだ。
3つ目は、燕三条がアウトドアやキャンプをけん引していく地域となることで全国のアウトドアをけん引することにつなげて行きたい。

そこで、行政側へのお願いがある。自治体の境界を超えてアウトドアの振興に協力してほしい。現状各自治体の垣根が障害となることがある。それぞれの自治体が管轄する地域ではお互いに協力しその境界を越えて活動することで、これまでより一層活性化を図ることができる。もう一つは、現代のデジタル社会の中で、他の地域に先駆け、燕三条で生まれた子供たちが究極のリアル体験であるキャンプやアウトドアをしながら育つしくみを作って欲しい。そうした体験をした子供がこの地域で育つことが未来の燕三条を大きく輝かせることになる。

同協会では、今後も地域のアウトドアの活性化を図るため様々な活動に取り組んでいくとしている。

新潟県アウトドア協会
https://niigataoutdoor.or.jp/