JACオートキャンプ指導者が顧問をする高校アウトドア部の活動を報告
高校教諭でアウトドア部顧問をしているJACオートキャンプ指導者からコロナ禍のアウトドア部の活動の様子を報告いただいた。今回は、日本オートキャンプ協会東海支部主催のJAC東海の集いへ参加した。関東の集い以来、他の支部主催の集いへの参加は初となる。これを機に、武蔵越生高等学校アウトドア部の活動を、様々な場面で知っていただき、今後の活動の幅が広がっていければ幸いである。
私が顧問を務めているアウトドア部では、現在高校1年生9名、高校2年生18名の計27名で活動している。アウトドア部の活動の幅は広がり、アウトドアは単なる遊びだけではなく、内面的にも大きく成長できるチャンスであるということを実感するようになった。
季節は3月。学年末の季節だが、日本オートキャンプ協会東海支部主催のJAC東海の集いへ参加した。関東の集いへは3回ほど参加させていただいたが、他の支部主催の集いへ参加するのは初である。幸いなことに、関東支部のキャンプ仲間たちも合流し、馴染みある面々で東海の集いへ参加することとなった。部員も、普段来ることのない静岡県という場所で、自由に羽を伸ばし、部員間でも普段はなかなか語ることのないことも語り明かせたようだ。このような機会を提供していただいたJAC東海支部の岡山潤様に、この場を借りて御礼申し上げます。
この記事がアップされるのは4月になるが、2023年度も新たな試みをしようと思っている。1年生の新入部員を迎え入れ、新たな体制でどんな活動ができるか楽しみにしながら、2022年度を終えようと思う。
2022年度1年間の集大成キャンプ…は、超グルメなキャンプ!??
武蔵越生高等学校 アウトドア部
顧問 坂本皓正(公認オートキャンプインストラクター)
部長 高等学校1年2組 田口凌太
私たちアウトドア部は、3月11日、12日に静岡県裾野市の大野路ファミリーキャンプ場にて開催された第10 回 JAC 東海の集いに参加させて頂きました。両日とも天候に恵まれ、綺麗な富士山や星を見ることが出来ました。今回は主に2つのイベントがあり、忙しそうで最初は不安いっぱいでしたが、優しいキャンパーの皆さんのお陰で楽しい2日間を過ごすことができました。
今回私たちは4つのテントを立てました。そのうちの1つは初めて使うテントで、何と前日に買ってきたというColemanの2023年新作テントでした。説明書を見ながら立てましたが、それでも上手くできず手こずるところがありました。その時は顧問の坂本先生にも手伝ってもらいなんとか無事に立て終えることが出来ました。このテントはダークドームなので遮光性が高く、本格的に活躍しそうなのは夏になりそうです!大野路ファミリーキャンプ場は芝生サイトでペグが打ちやすくスムーズに立てることができ、予定していた時間よりも早く設営を終えることが出来ました。キャンプを重ねるにつれ、テントの設営に慣れていき、部員も毎回キャンプに行くたびに違うテントの設営に挑戦したりして、なるべく様々なテントを設営できるようになりました。これから入部してくる後輩に、教える自信もついてきました。設営を終えた後は、多少自由な時間があったので部員達とたくさんお話ができました。アウトドア部の良さを改めて感じる時間でした。
どら焼き作りではイベントを主催した担当者の岡山さん監修の元、餡子やフルーツ、生クリームを使って各々がオリジナルのどら焼きを作りました。初めての挑戦というのもあり、生地作りにとても苦戦しました。生地を厚すぎず、薄すぎず焦げないように心がけながら丁寧に焼きました。しかし、あまり思うようにはいかず、生地が薄くなってしまいどら焼きのようにふっくらとした生地になりませんでした。なので、ほとんどの人は生地をフライパン全体に薄く広げ、どら焼きの生地でクレープを作っていました。見た目はどら焼きでは無いものの、味は完璧で美味しかったです。
子供から大人の方まで幅広い年齢層の人が参加しており、お互いにアドバイスをしあうなど、どら焼き作りを通して、様々な年代の方と交流できました。”キャンプ飯”については、専門の雑誌やウェブの記事が掲載されるくらいですが、そういえばアウトドアでのスイーツ作りは、あまり見ない気がしました。アウトドア部でも、こうしたスイーツレシピを考案して、これからの部活動体験などで活かせるアウトドアクッキングの幅が広がるように、これからの活動のヒントを持ち帰ることができました。
燻製料理も、一般キャンパーとして参加されたスモーク佐藤さんから教わることができました。燻製料理の奥深さや、燻製する期間の異なるチーズを試食することができました。部員の中には本格的な燻製料理が初めてという部員もいました。普段の部活動では、燻製をすることはないのですが、これからの部活動の中で、燻製器を自作したり、燻製料理を始めてみても面白いと思いました。
今回の目玉イベントの1つとして、じゃがいもやしいたけ、カブなど配られた食材を使ってキャンプ飯を作り、より美味しいキャンプ飯を決めるコンテストが行われました。配られたものは地元で取れた食材だったので、どれも新鮮でした。
私たちアウトドア部は顧問の坂本先生がこのコンテストに参加しました。当日まで何の食材が配られるのかが分からず、私たちも事前準備はしてきませんでした(最低限の調味料のみ)。用意されていた野菜は洋風の料理に使われる物が多かったのに対して、私たちの手元にあった調味料は和風の物がほとんどで、先生は苦戦していました。悩んだ末、ブルスケッタというイタリアの料理を作る事に決めました。頂いた野菜を1cm四方くらいの大きさに切ってフライパンで焼き、白だしや塩コショウで味付けをし、それを、薄くスライスして表面をバーナーで炙ったフランスパンに、溢れるくらいたくさん乗せて完成です。シンプルでありながら味は100点満点でした。
悩みながらも、瞬時にメニューを決め、手際よく料理を作ってくれた坂本先生は自慢の顧問です。(美味しそうだからという理由でわざと傘の大きなしいたけを余らせて、最後に焼いて独り占めしていたのはここだけの話です(笑))また、他のキャンパーさん達が作った料理も食べさせて頂きました。具沢山なナポリタンなどどれもとても美味しい物ばかりでした。気がつけば私たち部員だけで半分以上は食べてしまっていたと思います。同じ材料を使っているのにも関わらず、作る料理は十人十色で感動しました。
夕食では顧問の坂本先生が、パスタを作って下さいました。カルボナーラとミートソースの2種類で、ミートソースの方は料理コンテストで頂いた食材の残りを使い、具沢山なパスタでした。地元の野菜も入っていたのでより一層美味しく感じました。
また、カルボナーラはレトルトのソースにチーズ500gまるまる1袋を豪快に、さらに牛乳と厚切りのベーコンを加え、最後に上から粉チーズをかけて濃厚な味わいでした。部員一同声を揃えて「美味しい」と言っていたのを覚えています。これらを作った坂本先生もとても喜んで満面の笑みを浮かべていました。他のキャンパーさんからも焼きリンゴやピラフ、スープにシチューなど、多くの料理を頂きました。どれもとても美味しく、私たちには思い浮かばない発想な物もあり勉強にもなりました。色々な方と談笑しながら食べるご飯は、いつもより美味しく感じ、お腹だけでなく心も満腹になりました。
夕食の後は、アウトドア部のメンバーだけでなく、他のキャンパーさんともお話をして過ごしました。中には、他のキャンパーさんのテントに約3時間も居座っていた部員もいました。たくさん優しくしていただいて感謝しかありません。部員間で関わりが薄かった人もいましたが、今回のキャンプを通して仲を深めることができてとてもいい機会だったと思います。とても楽しく充実した時間を過ごすことが出来ました。
翌朝も他のキャンパーさんに、とても美味しいシチューやスープを頂き朝から満腹になりました。ご飯を食べたあと、撤収作業は9時頃から始めました。皆が効率よく動いたので、予想していた時間よりも早めに終わらせることが出来ました。テントなどがなくなると、終わりの実感が湧いてきてなんだか心寂しいような気分になりました。
今回の東海の集いはとにかくグルメなキャンプでした。グルメキャンプ これはこれで、アウトドア部がこれから主催する部活動体験会などにおいて、新たなヒントになりそうなイベントでした。
閉会式の後、本部の前に大きなタープが立てられていて、「この大きさのものが学校にあったらいいね~」と部員同士で話していました。すると、それを聞いていた岡山さんから、「持っていく?」の一言。部員一同まさかと最初はとても驚いていました。しかし気前の良い岡山さんのおかげで最終的にはタープを頂いてしまいました。これから大切に使わせていただきます。
こうした「集い」は何のために行われるのか。
各地から見ず知らずのキャンパーが一堂に会し、同じ時間を共有することには、深い意義があるように感じます。ただの旅行であれば、同じ観光地にいても、「赤の他人」で「観光客」で、おそらくその旅行中に関わり合うことはないでしょう。こうした日本オートキャンプ協会の各支部が主催する「集い」には、こうした人(点)と人(点)との関わりをつなぎ、キャンパー同士の輪を作る場としても、役割を果たしているのではないでしょうか。
withコロナと言われて随分立ちますが、同時に「アウトドアブームが下火になってきている」とも言われます。しかし、東海の集いではそんなことを感じさせないほど、それぞれのキャンパーが、それぞれのスタイルでこの時間を過ごしていて、キャンプのあるべき姿を再認識させられました。ブームどうこう関係なく、「キャンプ」という1つのライフスタイルは、落ち込むことはないと思います。
2022年度は、関東の集いに2回、東海の集いに1回、参加させていただきましたが、それぞれの支部ごとに特徴あるキャンプのイベントで、とても面白かったです。2023年度も、積極的に各地の集いに参加し、武蔵越生高等学校アウトドア部として、その名前を知っていただけるように活動して参ります。
今回のキャンプを通して、部員同士はもちろん、普段は接点を持つことの無い様々な地域から集まったキャンパーさんとも関わりを深めることができました。そして、様々な場面で、キャンプの楽しさや協力する事の大切さを知ることが出来ました。たくさんの人々の温かさにも触れ、1年間の集大成と言えるような思い出いっぱいのキャンプになったと思います。またこのメンバーでキャンプに行きたいです。
もうすぐ、新たな部員が入ってきます。わたしたち2年生(新3年生)は引退まであまり時間がないですが、次世代のキャンパーたちへ、キャンプの魅力を伝えていきたいです。そして1年生(新2年生)は、様々なイベントで、2022年度に参加させていただいたキャンプを忘れず、アウトドア部のイベントで活かしていきます。
文責
2年 関口陽成 梅谷祐那 澁谷杏奈 森楓音 杉本唯 瀬川なつみ
1年 阿部真奈 近藤佑哉 相場隆之介
報告:坂本皓正
(公認オートキャンプインストラクター)