キャンプ場スタッフ求人実態調査特集(2)

キャンプ場スタッフ求人に関する調査報告(2)

公設/民間別の調査結果(2)

■長期(1年以上)雇用:求人方法

短期(日雇い含む)雇用:求人方法

求人への取り組みインタビュー(2)

■<民営>赤城山オートキャンプ場の人材採用への取り組み

1)応募のあった際どのようなプロセスをされているのか、教えていただけますか。

当キャンプ場で働く上で重要なのが「何事にも臨機応変に対応する力」だと考えております。まず基本的なことですが、履歴書の内容を精査させて頂いています。
当キャンプ場に来る応募はほぼほぼ中途採用です。そのため学歴よりも職歴を重要視し、これまでにどんな社会経験を積んできたのかをチェックしています。キャンプ場の業務はマルチタスクなため、複数の職種を経験されている方や接客・サービス業の経験がある方は「臨機応変に対応できる力」があると考えているので、転職歴が多いから不採用ということはありません。

その後、面接プロセスへと進みますが、直接当キャンプ場に足を運んで頂いた上で面接の場を設けています。ほぼ群馬県内からの応募ですが、キャンプブームの昨今県外応募も多く、最近ですと京都からわざわざ越してきた方もいます。

昨今オンライン面接等が流行っていますが、画面越しだと人柄・雰囲気・愛想などと言ったものがわかりにくく、結果的に評価が難しいケースが想定されます。直接会った際にはそれらが掴みやすく、かつちょっとした身振り手振りでも人となりを見ることができると思っています。ただ面接するだけでなくキャンプ場のスタッフと一緒に場内を一周して頂きます。面接という場だと多少なりとも緊張してしまい、本来の魅力をアピールできない方が見られますので、キャンプ場という自然豊かな環境で緊張をほぐしてもらい、素の自分を見せて頂ければ…という狙いです。同時に、いざ一緒に働くのは現場のスタッフたちですので、現場からの意見を聞き込むのにも適しています。

またSPIなどの筆記試験の導入も進めており、それらを踏まえて社内で協議した後に、採用・不採用を決定する流れとなっています。

2)採用後の教育支援制度などはありますか

特別「教育支援制度」というものは用意しておりません。キャンプ場で実際に働いてもらう中で、自ら「この資格を取って仕事に役立てたい」と打診があった際には可能な範囲でサポートしております。

単なる「教育」という意味ですと「あなたはこの仕事をしてください」と決めつけず、まずキャンプ場における基本業務を身に付けて頂きます。
接客、イベント運営、掃除、メンテナンス、調理等々。試用期間3ヶ月の間にそれらを習得してもらった上で、その人の特性を見極め、本人の希望を元に、より専門的な作業に従事してもらっています。それは例え「元大工」や「元デザイナー」などと言った専門家であっても同様です。

また試用期間が終了するタイミングで、現場スタッフの一部から「業務評価シート」を記入してもらっています。
「就業規則を遵守し、職場の秩序の維持に努められていたか」「常にチャレンジ精神を持ち、自ら新しい業務に臨む姿勢が見られたか」等基礎項目から、「笑顔で挨拶し、接客時は適切な声の大きさやトーンで対応できていたか」「柔軟な思考かつ臨機応変に、お客様に適した対応ができていたか」等サービス項目があり、全20項目、各5点満点の総合100点満点で評価し、一定基準に届かず、かつ改善の余地が見られない場合は正式雇用に繋がらない場合もございます。
この評価シートについては採用者には事前に通達した上で実施しており、採用後もそれを頭に入れた上で現場業務に励んでもらいます。

3)近年、実際に採用された方の現在の状況

赤城山オートキャンプ場で採用となったの2022年12月に2名、いずれも上記プロセスを踏まえて正社員として採用しました。
率先してキャンプ場の改善案やイベント立案をしてくれたりと、毎日楽しそうに働いてくれています。
現場スタッフも皆和気あいあいしており、そのムードのままお客様と接してくれるので、キャンプ場全体で見ても良い方向に進んできていると実感しております。

現在当社では赤城山オートキャンプ場の他にグランピング施設を2拠点オープンさせ、人手不足が続く状況ですが、この採用プロセスは崩すことなく、より良い職場環境作りを実施していきたいと考えています。


■<公設(指定管理)>オートキャンプ場(北海道:Hオートキャンプ場)の求人と採用の状況

①近年の求人に際して、アウトドア人気の影響はありますか

中には趣味が高じてという応募者もおりますので多少はあると思われますが、それほどの影響はないという実感です。清水建設・東急コミュニテイー・大手出版社の3社が合同でPFI事業として北海道からの指定管理を受けております。実際は零細企業なのですが、大手の看板が名を連ねておりますので会社としてのネームバリューや安心感から応募してくる方もいます。

②応募者はどういったエリアからありますか

応募者は、全国からございます。地元はもちろん、静岡や山形・仙台などです。WEBの求人(インディード)ですので、応募は全国版です。
もちろん地元のハローワークにも求人は出しますが、短期や清掃の場合に限ります。

③応募者にはどんな方がいらっしゃいますか

こちらも多岐にわたりますが、50代~20代と幅広く、主婦・新卒(大卒)の方からサラリーマン退職者・自衛隊定年退職者等。単身者も妻帯者もおります。
若い方は単身で遠方より、妻帯者は地元という感じです。
職種によりますが、清掃は女性が多く、フィールドは男性が多いです。
今現在の応募内容が契約社員としているので、どちらかというと男性が多いです。

※最後に、応募は年齢・性別・地域関係なくございますが、すべての方が働いていただけるわけではございません。指定管理が問題となっております。25年間の指定管理ですがすでに残すところ8年余りとなり、若く有望な人材に「あと8年で指定管理が終わる施設です」けど働いていただけますか?というと先のない将来性のない仕事を選択する人はおりません。幸いにも地元に自衛隊の施設があり、自衛隊定年が55歳なので自衛隊退職者からの応募が多くなりました。


参考:キャンプ場の求人情報

各地のオートキャンプ場かどんな仕事内容や待遇条件で掲載しているかを参考に自社の募集内容に磨きをかけてみてはいかがだろうか。ひと言の表見を加えたり変えただけで応募数や質が変わるかもしれない。まずは応募者の目線に立つことからはじめてはどうだろうか。

前回:キャンプ場スタッフ求人に関する実態調査(1)の記事はこちらから