JACオートキャンプ指導者が顧問をする高校アウトドア部の活動を報告
高校教諭でアウトドア部顧問をしているJACオートキャンプ指導者からコロナ禍のアウトドア部の活動の様子を報告いただいた。
ゆるキャン△を筆頭に、一気にキャンプブームが到来したが、高校生のリアル「野クル」は何を感じ、どんなことを考えているのだろうか。
コロナ禍でのキャンプにおける衛生管理問題について
武蔵越生高等学校 アウトドア部
顧問 坂本皓正(公認オートキャンプインストラクター)
部長 高等学校2年 齋藤愛彩
1. はじめに
2021年1月上旬、首都圏1都3県で緊急事態宣言を改めて出すことが決まりました。これにより、不要不急の外出自粛要請に法的根拠が生じることになります。2021年1月29日現在、緊急事態宣言は全国各地で発令され、新型コロナウイルスの拡大は、依然収束を見せません。
新型コロナウイルスの世界中での感染拡大からもうすぐ1年が経過しようとしますが、このコロナ禍において、キャンプ(主にアウトドア関連)人口は爆発的に伸びました。しかし、3密環境は少ないと当初考えられていたキャンプ場でも、県外からの移動や共有施設の衛生面などを考慮したときに、営業自粛を決定したところも少なくありません。
私たちは、活動の中心として昨年何度も利用させていただいていたBIO-RESORT HOTEL & SPA O Park OGOSE(株式会社温泉道場、以下O Park OGOSE)様(以下、敬称略)を事例に、コロナ禍におけるキャンプ場の運営や、我々キャンパー(ユーザー)の意識などについて考えました。
2. 私たちが普段利用しているO Park OGOSEの取り組み
①業界初の「BBB(ビルド・バック・ベター)認定証」の取得
◼安全を確保した運営体制の整備のため、キャピタルメディカにCOVID-19感染防止対策のガイドライン策定を依頼、ガイドラインを遵守して運営されている施設に付与される「BBB(ビルド・バック・ベター)認定証」を取得しました。温浴・宿泊施設で「BBB認定証」を取得しております。
■BBB(ビルド・バック・ベター)認定証」について
「BBB」とは(Build Back Better:ビルド・バック・ベター)の頭文字を取ったワードで「よりよい社会の再建」を意味し、キャピタルメディカが定めた感染症対策ガイドラインを遵守して運営されている施設に発行されるものです。(HPより引用)
② チェックイン時
◼入館口にアルコール消毒液の設置
◼チェックイン時の全員の本人確認
◼すべての施設利用者に検温の実施
◼チェックカウンターにシールドの設置
◼接客時のマスクの着用の徹底
◼2mのソーシャルディスタンスを確保 ・・・等
(HPより引用)
③ 私たち利用者へのO Park OGOSEからのお願い
◼チェックイン時にご旅行者様全員分の身分証明書のご提示をお願いいたします。
◼共用スペースでのマスク着用、手洗い・手指消毒の実施。
◼新しい旅のエチケットを遵守いただき、安心・安全のご協力をお願いいたします。
(HPより引用)
1年前には考えられませんでしたが、今でこそ当たり前となったこれらの感染症拡大防止策についても、しっかりと対策をされているので、安心して利用できます。
O Park OGOSEは特に、グランピングをメインに、様々なタイプの宿泊施設が用意されています。こうした施設についても、利用の前後での感染症対策は徹底されており、我々利用者も安心して利用することができます。O Park OGOSEはグランピングの宿泊施設に限らず、BBQ場、フリーテントサイト、レストラン(2月7日までは時短営業中)、温浴施設など、ラグジュアリーな施設を豊富に取り揃えており、毎回違う楽しみ方ができる施設です。また宿泊の際、越生町では夜に美しい星空も観ることができます。ぜひ、一度宿泊されてみてはいかがでしょうか?
公式HPはこちらから ☞ https://opark.jp/
3. 新型コロナウイルス感染症とキャンパーの衛生管理意識
こうして可能な限り感染の危険性を排除することで、「衛生対策のしっかりなされたキャンプ場」という信頼が担保されることになります。
しかし、運営側の努力だけではなく、利用者である私たちも、より一層高い衛生管理意識を持つことが大切です。例えば、密集回避のために、利用可能なテントサイトも数を縮小せざるをえないでしょう。また、利用後の施設の消毒作業やスプレー、アルコール類の設置など、これまでにはなかった仕事が増加している背景も考えなければなりません。かかる手間はこれまでの比ではなくなる。そうした場合の利用料の値上げも、安心と安全を買っている、という認識に変われば、より気持ちよく利用できるようになると思います。
2020年夏、緊急事態宣言解除後の夏休みには、フリーテントサイトをお借りし、デイキャンプを行わせていただきました。生徒たちの中には、キャンプの未経験者も多かったですが、設営、食事、花火、撤収まで、感染症対策を心掛け、1つ1つのことを丁寧に行いました。特に、ゴミの分別、片付け時には、「来た時よりも綺麗に」を意識して活動に取り組みました。(当日は30℃を超える気温のため、熱中症予防の観点から、日中はマスクを外していたことをご容赦下さい。
例えば、カトラリー類や鍋などにおいても、最近では使い捨てのアルミ鍋など便利なものも増えてきています。資源の過剰な使用は、環境保護の観点から好ましくないですが、可能な範囲でこうしたものに頼ることも、方法の1つではないでしょうか。最終的にペール缶などで燃やすことで衛生面の問題の1つは解消されます(灰はキャンプ場の所定の場所で処理する必要があります)。顧問は大学で食品科学科に在籍していたこともあり、衛生管理、調理過程などには充分に注意を払い、監督しました。
鍋、割り箸、紙皿など使用。O Park OGOSEでは、ゴミは分別し、所定のゴミステーションへ捨てます。新型コロナウイルスの食品を介しての感染は確認されていませんが(2021年1月現在)、ごみの排出量を最低限に抑えつつ、休校開け、部員同士で久々の食事を楽しみました。(2020年8月10日撮影)
この夏は部活動の宿泊合宿ができなくなった関係でデイキャンプとなりましたが、最後の花火も含めて、活動は有意義で楽しいものとなりました。
全ての利用者が高い意識を持つことは難しいです。しかし、当初のような物品の騒乱もある程度落ち着き、市場にはマスクやアルコール類も陳列されるようになりました。そうした消毒グッズを利用者自ら持参し、利用の前後でそうした気遣いをすることも、コロナ禍におけるキャンプ場の利用においては重要なファクターとなることでしょう。
コロナ禍におけるキャンプ場の衛生管理問題については、運営者と利用者の立場から、どのようなことができるのかを考えながら活動を行いたいと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
文責:齋藤愛彩
校正:坂本皓正
(あとがき)
私が顧問を務めているアウトドア部では、現在高校1年生3名、高校2年生10名の計13名で活動しています。これまでは、様々なアウトドア活動を通じて体力の錬成や、シーズンスポーツの体験などで、教育的活動としてのアウトドアではありませんでした。しかし、このコロナ禍で活動をするにあたり、「衛生的に守られた、しかし最高に楽しめる」アウトドア活動を考え、部員たちと一緒になり、実践しています。
2020年8月(緊急事態宣言解除後)に、「コロナ禍におけるキャンプ」とテーマを決め、実際に活動を行いました。今までとは違うキャンプ場の風景、そして、活動を通じて、「キャンパーが意識するべき衛生管理」とは何か、考えることができました。今回その活動の一部を、記録として報告します。また、今後の活動についても、ご報告できたらと考えています。
記 (JAC公認インストラクター)坂本皓正