「レジャー白書2020」から見る2019年オートキャンプの動向
2019年の余暇活動を取りまとめた『レジャー白書2020』が 日本生産性本部余暇創研から9月30日に発行された。コロナ禍以前の調査データが元になっているが、コロナ禍にあっても衰えないキャンプ人気を裏付けるデータを読み取ることができる。
なお、白書には新型コロナウイルス感染症によりレジャー産業を取り巻く環境が大きく変化したことから、2020年に入ってから緊急事態宣言が解除された5月までのコロナ禍の影響と今後の課題についても巻頭で特集している。
2019年余暇市場全体の動向概要
スポーツ部門(前年比1.4%増) は、アウトドア用品、ムポーツウエア・シューズ、フィットネスクラブが堅調に8年連続で増加。スポーツ観戦も8年連続プラスで、過去最大の市場規模を更新。ゴルフ場、ゴルフ練習場、テニススクールは底打ちしプラスに転じたと解説している。
観光・行楽部門(前年比2.4%増)は、インバウンド効果でホテルが引き続き大きく伸び、航空、鉄道、パスも好調を維持。コロナ禍以前は、旅行業は海外旅行の好転き続き、インバウンドも上乗せされる一方で、国内観光旅行に関して、遊園地・テーマパークは天候不順で、長年続いた増加に歯止めがかかったとしている。
2019の年潜在需要
「レジャー白書」では、将来の「希望率」と現在の「参加率」の差を「潜在需要」と定義して、《希望はあるがまだ実現していない(今後実現が期待される)》需要の大きさととらえている。2019年の潜在需要の首位は「海外旅行」で、次いで「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」「クルージング(客船による)」「温浴施設(健康ランド、クアハウス、スーパー銭湯等)バーベキュー」「ピクニック、ハイキング、野外散歩など」となっており、「バーベキュー」の順位が上がっている。男性では4位に「バーベキュー」、6位~8 位に「登山 」、10位に「釣り」とアウトドアの活動が並んだ。女性は5位に「ヨガ、ピラティス」、8位に「観劇(テレビは除く)、10位に「遊園地が並んだ。女性は健康・美容関連が上位にきているのが特徴だが、「ピクニック、ハイキング、野外散歩」も男性と同じ7位に入っていることが男女とも屋外活動の潜在需要の伸びを伺い知ることができる。
オートキャンプにフォーカスすると、全体で昨年比で18年トップ10圏外だったのが、19年は8位になりトップ10入りして上昇している。年代別にブレイクダウンしてみると、10代~50代ののみならず60代もトップ10圏外から19年9位に入り、より幅広い年代でキャンプをはじめったい願望が広がったということが分析できる。
今後は若者だけでなく60代以降に対して、お手軽バーベキューや野外散歩と組み合わせてソロキャンプやデュオキャンプのプランを企画・提案していくのも面白いのではないだろうか。
2019年の登山・キャンプ用品の販売動向
スポーツ用品の売上げは、前年比0.5%プラスとなり、8年連続のプラスとなっている。これを同白書では、東京オリンピック2020に向けた国内スポーツ熱の高まりを反映したものとしてでなく、アスレチックウエア(スポーツアパレル)やスポーツシューズを日常着としてカジュアルに着こなすファッシヨンスタイル「アスレジヤー」の拡大と、「キャンプ・アウトドアブーム」によるものだと分析している。特に登山・キャンプ用品の販売は、好調が続き、前年比4.0%増加。
今後、キャンプ場で食材や消耗品だけでなく用品販売を開始したり、更に品揃えを拡げる余地はまだまだありそうだ。
1990年代以来の第2次キャンプブームが到来、特に秋から冬にかけてのキャンプ需要が伸び、「ソロキャンプ」の増加が大きな傾向と捉えている。YouTubeなどでの芸能人のキャンプが話題となり、メディアなどでもソロキャンプが取り上げられ人気を呼んだこと、従来なかった平日にソロキャンパーを対象としたキャンプイベントが開催され多くの参加者が集まったことも大きな要因と分析。その他、外国人の利用も近年増加し、利用説明書や予約システムなどの外国語対応や、カード決済などのインフラ整備が進んでいるとしている。
これらのことからもイベント企画やインフラの充実がキャンプ市場需要を長期的に持続していく上で重要な要素になってくるのは間違いないだろう。
こうしたライトアウトドア分野(キャンプ、ハイキング、野外フェスなど)やライフスタイル分野(街歩きや旅行、通勤・通学など)における需要の高まりを背景に、アウトドア用品の売り場も増加・拡大傾向にあり、スポーツ量販店はアウトドア専門業態の開発や既存店の改装を進めていると白書では解説している。