ミッション

ミッション・ステートメント

()日本オート・キャンプ協会では、キャンプ場の指定、キャンプクラブの育成、キャンプ講習会の開催、キャンプ指導者の育成、キャンプ情報の提供、関連諸団体との交流、関連業界への助言、などの活動をとおして、我が国における「安全で楽しいキャンプの普及」に努めています。

提 言

キャンプ愛好家の方々へ

  1. キャンプは、必ず許可された場所で行うようにしましょう。
    国土の全ての土地には、必ず所有者もしくは管理者が存在します。 キャンプはキャンプ場、また、キャンプ地の許可条件を  守って行うようにしましょう。
  2. キャンプを楽しむためには、それぞれのレベルに応じた専門的な知識と技術を   身につけましょう。
    正しい道具の使い方や、キャンプ場での楽しみ方など、キャンプ教室や講習会などの機会を利用して理解するようにしましょう。
  3. キャンパー同士のふれあいや、交流を促進しましょう。
    キャンプ場で一緒になった人達と、仲間意識をもって交流しましょう。困った時の力になってくれたり、とっておきの情報を教わったりすることができます。
  4. 自然を愛し、自然を敬いましょう。
    自然の美しい面だけを見るのではなく、自然の本当の姿を理解し、利用する自然に対して感謝の気持ちを持ちましょう。
  5. いざという時の備えを忘れずに。
    天候の急変、用具や道具の故障、病気や怪我など、起こりうる緊急事態に対する準備と心構えを持ちましょう。

浜 田 宣 言

-前文-

第55回FICC世界大会が、日本の島根県浜田市で、4月29日から5月8日まで開催され、世界20カ国から約1,500人が参加しました。これを好機として、キャンピングと環境に関するシンポジウムが大会会場で開かれました。大会とシンポジウムの会場として浜田が選定されたことは、浜田市が、

(1) 懐かしの神話時代にまでさかのぼる日本の伝統文化に富んでいるだけでなく、リラッ クスできるすばらしい自然に囲まれていること、
(2) 自然環境保護を目指す計画的な配慮のもとでレクリエーション資源の開発に積極的に関わってきたこと、
(3) 世界平和の気高いシンボルであるヒロシマにかなり近いことを考えると、非常に意義深いものがあります。

自然、人間、テクノロジーの調和を追求することの重要性を理解したうえで、キャンパーと自然環境の接点についてさまざまなテーマが取り上げられました。各国のキャンパーが前述の事柄を明確に認識し、この目的を実現するために最大の努力を払うことを期待しながら、キャンピングと環境に関するシンポジウムの参加者はここに次の宣言を採択します。

-宣言-

キャンピング生活の起源は、アフリカの遊牧民(トアレグ族)、北米原住民(インディアン)、全世界に分布していた新石器時代の人々など、私たちの先祖にさかのぼることができます。これらの「キャンパー」と呼ばれた人々は、互いに密接に連携しあい、周囲の環境と深く調和していました。多くの点で現代のキャンパーの生活は、すべての人に自由と責任を自覚させながら、連携と自然との密接なつながりに社会的な重要性をもたせるという、同じ原則に基づいています。われわれ参加者は、この目的を実現するのに必要な行動に参加することを、ここに真剣に宣言します。

次の行動を取ることを勧告します。

(1) キャンピングやトレーラーによる移動と環境問題をどのように関連づけるか、キャンパーから周囲の自然・社会環境まで望ましい外界をどのようにして増加するか、これらの問題をどのようにして解決するかを対象とする会議と常置委員会を実現するよう、FICCに勧めます。
(2) キャンプ場内やその周辺の自然環境にまで拡大したミニマム・インパクト・コード(MIC)の導入を、確実かつ包括的に推進するシステムを確立します。ただし、MICは制限的規範があるだけでなく、キャンパーにクリエーティブな刺激を与えるものとします。MICは、キャンプ場を使用する人々が関連する自然状況と調和し、共存しながら、正しいアウトドア活動をエンジョイできるよう、キャンパーを取り巻く自然環境への悪影響をできるだけ少なくするための最低基準を確保するものです。このような試みは、キャンパーが自然環境へのアクセスの価値を認識し、環境悪化問題を解明し、環境を改善するのに役立ちます。
(3) 次の内容をもつコード・オブ・コンタクト(CC)を作成します。
(i) 仲間のキャンパーたちの幸福をいっそう追求する。
(ii) キャンパーと地元住人との関係を改善する。
(iii) 環境にやさしい行動などについて説明する。
(4) 次に関する双方向の情報、教育、およびコミュニケーションを改善します。
(i) キャンパーと「地元の民間関係団体と地方自治体」間でのMICおよびCCの継続的発展。
(ii) 自然環境から与えられる優しい快適さを、環境を悪化させずに高めることができるように、技術進歩の結果を増大させるための協力。
(iii) キャンパーの若い世代における自然と地元の利益の尊重を推進するための教育。
(iv) メディアに提供するキャンピング情報の増加。

(1994年5月4日)

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安全で楽しいキャンプの普及のために

玄倉川キャンプの事故に関連して―

 平成11年8月第2週の週末、神奈川県の玄倉川、山梨県の道志川、埼玉県の大滝村、その他においても、大雨による河川での多数の事故が報道された。そしてそれらのほとんどは、河川の増水によるキャンプ中の事故であった。そのうち玄倉川での事故は、その経緯から生々しい映像とともに報道され、死者を含む十数名の行方不明者との報道に大きな衝撃が走った。事故に遭われた方々には心より哀悼の意を表明するとともに、これらの悲惨な事故を二度と引き起こさないために、(社)日本オートキャンプ協会では、今回の河川事故を主体として整理するとともに、一層の正しいキャンプ活動の普及と啓蒙を図るべく、今回の提言をする次第である。

1.特異な事故であったのか

河川の増水によるキャンプ中の事故は、決して初めてのことではなく、過去においても重大な事故が発生している。

(事例)昭和41年8月、宮崎市立中学校が県内町営キャンプ場で実施したキャンプ活動において、川の増水氾濫によってキャンプをしていた中州に生徒11名が孤立し、このうち生徒8名及び教員1名が激流に押し流されて溺死した。この事故はその後裁判となり、第1審宮崎地裁(昭和43年)、控訴審福岡高裁(昭和44年)において争われ、引率教員が業務上過失致死の罪に問われたが、本件事故は全く異例の突発的局地的集中豪雨という偶然的、不可抗力的事実に基因するものであるとして、無罪の判決が下った。

この事故を契機として河川の急激な増水や、中州での危険性が大きくクローズアップされ、中州にはテントを張らないことや、河原で活動をする場合には急激な増水の可能性について、予め対策を立てておくことが強くアピールされるようになった。

キャンプやハイキング中の河川での事故はその他にも様々なケースがあり、特に川遊び中の溺死事故が目立っている。また稀なケースではあるが平成10年の事故として多摩川河川敷でキャンプをしていた高校生2名が、折りからの雨によって緩んだ堤防の崩落により、生き埋めとなって死亡した事故もある。

過去に発生した事故事例を貴重な教訓とし、
同じ様な事態が起こりうるものとして事例を役立て、
対策を立てるようにしたい。

2.キャンプの大敵は、過信と油断

キャンプは、日頃の生活場面を離れ、非日常的な体験を主体とするところに楽しさと意義を見つけることができる。このことは、よくわからない場所で、慣れていないことを行おうとしているのであって、それだけ慎重に取り組み、周到な手だてを施す必要があるものと言える。

経験を慣れとせず、
また解っているからと油断せず、
いつも新鮮な気持ちと謙虚な心構えをもって
一回一回のキャンプに望むようにしたい。

 

3.自然は生きている

科学の進歩が自然現象を解明し、自然をコントロールするまでの技術を持つようになった。しかしながらまだまだ未知の部分は多く、時として計り知れない程のエネルギーを発散させることがある。そのような時に我々人間の立ち向かう力は無力に等しく、ただ、自然の摂理に委ねなければならないことになる。

我々と共に生きている自然を敬い、
自然のパワーを侮ることなく
自然と共存するという心がけをもつようにしたい。

4.人との出会い、ふれあいを大切に

キャンプは、多くの場合、家族や仲間と共に出かけ、そしてキャンプ場ではさらにたくさんの仲間達と出会うチャンスにあふれている。とかく孤立化、個別化しがちな現代社会において、多様な人々との交流の機会にあふれていることも、キャンプの魅力を高める大きな要素である。

このような時、せっかくの出会いを無視せずに、多くのふれあいを経験し、コミュニケーションを高める機会として様々な人の意見にも耳を貸す機会としたい。

また自分達の仲間の中においても、日頃とは異なった関係のもとに互いにリーダーシップを取り合い、新たな一面の発見に役立てることもできる。そんな仲間の中には、もっとベテランの人がいたり、地元ならではの情報に詳しい人が必ずいたりする。

キャンプで出会った人たちを大切にし、
知識や知恵を獲得する機会として役立て、
地元の方々や専門家の注意や指示は素直に受け入れたい。

5.モラルの欠如が規則や制限を生む

一般のスポーツは、細かく定められたルールに基づいて展開され、楽しまれる。それに対して、キャンプをはじめとするアウトドア・スポーツは、ルールのないところで、それぞれの創意と工夫によって楽しみを拡大するところに大きな魅力が存在する。しかし社会として放置できない状況が認められることによって、アウトドアにも次第にルールが設定されてくるようになる。

生きている自然、多様な変化を呈する自然や仲間から様々な情報を吸収し、それらを材料として判断し、責任を持った行動として展開することがアウトドアを楽しもうとする人の基本となるモラルとテクニックである。

主体的な興味を発展させ、
自由にのびのびと楽しむためには、
日頃からの心構えが大切である。

6.イメージ先行による普及促進方法の反省

雑誌をはじめ、アウトドア関連のパンフレットやカタログの多くは、美しい写真を添えてそのイメージをアピールしている。その中の多くの事例に、河原にテントを張ったり、こんな所までと驚くような場所に自動車を持ち込んでの写真が利用され、掲載されている。

正しい知識と判断力を持たない一般の人々が、これらリアリズムあふれるシチュエーションにあこがれ、私にもと思わせる影響力には恐ろしいものがある。ますます進むであろう情報化社会において、これらの情報からあこがれを抱き、イメージを形成して新しく参入する人々が増えることも容易に予測できる。

リーズナブルな判断ができる消費者を育てるためにも、
誇張や仮定に基づき、
理想イメージが先行した提示の在り方については
慎重な配慮が必要である。

(1999年8月24日)

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オートキャンパー憲章

前文

私たちオートキャンプ愛好者は、人と人・人と自然の調和を求め、オートキャンプ活動を通して、心豊かな余暇ライフの実現と、真にゆとりある平和な社会の構築をめざし、以下の憲章を定めます。

条文

1. 私たちは、互いにルールとマナーを守り、他のキャンパー・地域の人々とも協調し、楽しく快適なキャンプを実践します。

2. 私たちは、地球環境保全の意義を理解し、環境に配慮したキャンプを実践します。

3. 私たちは、家族の団らん・人との交流・自然との触れ合いを大切にするファミリーキャンプの素晴らしさを讃えます。

4. 私たちは、現代社会における自然体験やアウトドア活動の重要性を自覚し、キャンプを通して健全な精神と身体の育成に努めます。

5. 私たちは、車の節度ある利用と安全で環境に優しい運転を心がけます。

6. 私たちは、年齢や障害の有無に関わらず、より多くの人々がオートキャンプの魅力を享受できるようユニバーサルキャンプの実現に努めます。

(2005年3月22日)

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福島宣言

~第89FICCオートキャンプ世界大会
 2019.9.28-10.6 福島県天栄村

前文

一般社団法人日本オートキャンプ協会は創立50周年を記念して、2019年9月28日から10月6日まで第89回FICCオートキャンプ世界大会を日本の福島県天栄村で開催した。2011年3月11日に発生した東日本大震災およびそれにともなう津波と福島第一原子力発電所の事故はこの地に未曾有の災害をもたらした。<観光・交流・復興>をスローガンに掲げて実施された本大会は、世界14か国から約800人のキャンパーと多数の地元住民が参加して大きな成功をおさめた。ここに本大会の意義を再確認するとともに、今後の活動の指針とすべく、日本オートキャンプ協会会長として以下のことを宣言する。

宣言

Ⅰ.観光としてのオートキャンプの推進
オートキャンプは、日常生活の圏外に出て未知の人と自然と文化に触れる観光の本質を体現したレジャー活動である。本大会で世界各国のキャンパーが10日間オートキャンプ場に宿泊して観光したことは、日本におけるオートキャンプツーリングの発展につながるものである。私たちは本大会の成果を踏まえ、なおいっそうオートキャンプツーリングの環境整備に努める。

Ⅱ.オートキャンプを通した国際交流
FICCオートキャンプ世界大会は世界中のキャンパーが国家、言語、民族の違いを超えて集まり、開催地の自然や文化に触れるとともに互いの親睦を深める平和の祭典である。アジア各国の政府間の緊張が高まっている現在、日本、台湾、韓国および中国のキャンパーが本大会に参加して親しく交流した意義は大きい。私たちは本大会の成果を踏まえ、なおいっそうオートキャンプを通した国際交流の促進に努める。

Ⅲ.地域振興に寄与するオートキャンプ
原発事故から力強く復興しつつある現在、、福島県が受けている最大の被害は風評被害である。この状況下で世界各国の人々が福島の現状を自分の目で見て体験したことは、風評被害を払拭する一助となった。私たちは本大会の成果を踏まえ、なおいっそうオートキャンプを通した地域の振興に努める。

Ⅳ.オートキャンプにおけるSDGs(持続可能な開発目標)
オートキャンプは、人と自然とクルマの調和を追求しながら、余暇の充実、人々の共生、および環境の保全をはかる持続可能なレジャー活動である。本大会は開催地の自然資源・文化資源・観光資源を最大限に活用することを通して、地域の振興と世界平和に貢献した。私たちは本大会の成果を踏まえ、なおいっそうオートキャンプにおける持続可能性の追求に努める。

一般社団法人日本オートキャンプ協会
会長 明瀬一裕
(2019年10月5日)

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