「レンタルキャンピングカー白書2024年版」から見るキャンプ場への影響
2024年の「レンタルキャンピングカー白書」は、レンタルキャンピングカー市場がアフターコロナに対応しながら拡大を続けていることを示している。この市場の変化がキャンプ場経営にどのような影響を与えるのか、プラスとマイナスの両面から考察してみる。
1. 店舗数の増加と保有台数の減少
レンタルキャンピングカーの店舗数が増加していることは、キャンプ場への集客チャンスが広がるというプラスの影響をもたらすだろう。訪日外国人などレンタルキャンピングカーを利用する新しい層が増えることで、キャンプ場の利用者数が増加する可能性もある。一方で、車両の保有台数が減少している点は、今後のレンタルキャンピングカー業界を見て行く上で注視する必要がある。現状キャンピングカーのキャンプ場利用の割合いは5%以下(オートキャンプ白書)を多くはないが、レンタルキャンピングカーのトレンドは今後キャンプ場運営にも関わってくると考えられる。
2. 車種のバリエーションが増加
レンタルキャンピングカーの車種が増加することで、キャンプ場が対応すべきニーズも多様化しそうだ。グラフではキャブコン中心から、それ以外の車種が増加する傾向が見られる。今後、比較的大型の「バスコン」、「輸入車」などが増加傾向となった場合には、現状のサイトのサイズでは入れないものが出てくることもあるため、大型のキャンプ場に備えられている「キャンピングカーサイト」と呼ばれるキャンピングカー専用サイトの必要性が出てくる可能性がある。今後キャンプ場はより多様な利用者層への対応が必要となるかもしれない。
3. 利用料金の上昇と利用パターンの変化
キャンピングカー利用料金の上昇と、それに伴う利用パターンの変化は、キャンプ場にとって新たなビジネスチャンスとなりそうだ。利用者がより長い期間滞在する傾向が強まることは、キャンプ場収益もの安定にも貢献する。また、高額なキャンピングカー利用者層が増えることでキャンプ場における、より付加価値の高いサービス(高級設備、体験型プログラムなど)のニーズが生まれる可能性があり、それはキャンプ場全体の収益性の向上にもつながる。
4. ネット予約・決済システムの普及
ネット予約や決済システムの普及は、キャンプ場にとってもプラスに働くだろう。キャンプ場もサービス連携などをすることで、よりスムーズな予約管理や利用者の利便性向上が期待される。特に、インバウンドの増加を見据えた多言語対応や、オンラインでの予約が可能なシステムが可能になれば、海外からの利用者を取り込むチャンスが広がりそうだ。
5. ペット同伴のニーズ増加
ペット同伴可能なキャンピングカーの増加は、キャンプ場にとってもプラスの影響をもたらすだろう。ペットと一緒にキャンプを楽しみたいというニーズが増えていることを考慮し、ペット専用エリアやペット対応の設備を整備することで、差別化を図ることができる。また、ペット同伴利用者のリピーター化が期待できるため、安定した集客につながると予想される。一方で、ペットによる施設の損傷や他の利用者とのトラブルを防ぐための管理体制を強化する必要もあり、オペレーションコストが増加する可能性も考えておいた方がいいだろう。
6. インバウンド利用の急増
海外からの観光客の急増は、キャンプ場にとって大きなビジネスチャンスとなる。特に、多言語対応ができるキャンプ場ならば、インバウンド需要を積極的に取り込むことで大きな収益を上げる可能性がある。また、メジャーな観光スポットに飽き足らない海外からのリピーターなら地方の自然や文化を求めてキャンピングカーで訪れるだろう。彼らがSNSなどから発信すれば、キャンプ場のブランド力が向上し、国内外の利用者を呼び込む相乗効果が期待できる。もちろん、SNSなどで対応できるスタッフはキャンプ場側でも課題となるため、対応できる準備は必要になるだろう。
7. 宿泊場所の多様化
レンタルキャンピングカー利用者の宿泊場所が多様化していることは、キャンプ場にとって新たなビジネスチャンスをもたらすだろう。オートキャンプ場だけでなく、温泉施設やスキー場などの隣接施設とのコラボレーションを進めれば、新しいプランやサービスが提供できるようになる可能性がある。他にもRVパークを隣接させるなどレンタルキャンピングカー利用者のニーズに応じた新たなサービスを開発することで、他のキャンプ場との差別化も図れることができる。一方、従来のオートキャンプだけのビジネスモデルを維持するだけでは、競争力を失う可能性があるため、今後ますます柔軟な対応が求められることだろう。
まとめ
2024年版「レンタルキャンピングカー白書」は、キャンプ場に対して多くの可能性と課題を示唆している。キャンプ場経営者としては、市場変化の機微を捉え、いち早く柔軟な施策を打ち出していくことで、新たなビジネスチャンスを掴むことができるかもしれない。これからのキャンプ場経営は、これまでにも増して利用者の多様なニーズの情報収集と選別が必要になってきそうだ。。