キャンプ場人材確保とスタッフ募集の実態調査
- キャンプ・アンド・キャビンズインタビュー
- スタッフ募集の実態アンケート調査結果
1)キャンプ・アンド・キャビンズ池上俊朗氏に人材確保について聞いてみた
キャンプ場運営の課題を聞くと「人材募集」という意見を聞くことが少なくない。ハロウィーンなどのイベントをいち早く取り入れた栃木県の人気キャンプ場「キャンプ・アンド・キャビンズ」では、今年山中湖に第2キャンプ場をオープンするため、ウェブサイトにも「採用情報」が目立つように配置されている。
同キャンプ場ではアウトドアイベント「アウトドアデイジャパン東京」のブースでもスタッフ募集を行うなど、ユニークな人材募集を行っていた。そこで、同キャンプ場のマネージャー池上俊朗氏にキャンプ場の人材募集について話を聞いてみた。
池上氏:特別ユニークな人材募集というのは行っていないと思います。募集方法として、キャンプ場のウェブサイトの他、「インディード」などの求人サイトを使ったり、知り合いの知り合いといった「縁故採用」など、特に募集方法については他のキャンプ場と変わらないと思います。
ただ、心がけているのは、できるだけ会ってみることと、会った人はできるだけ採用するということぐらいでしょうか。
現在、山梨県の山中湖に新しいキャンプ場のオープンを進めており、そのための人材を募集しています。今はキャンプ場という仕事に興味を持つ方も多く、関西の方からも応募がありますが、そうした人も会うことにしています。ZOOMなどを使ったオンラインという方法もあるのかもしれませんが、やはり直接会うのとは大きく違うと考えています。
これまで採用して来た中でも面接しただけではわからないことの多いものだな、と感じています。フロントに立つ人を募集して採用してみたら、フロントに向かなかった。しかし、バックヤードの仕事をやってもらったら、縁の下の力持ちとして活躍してくれたた。「イベントなど表にたつ仕事は苦手です」と言われて採用したら意外にイベントなどをうまく進行してくれたりと、当初自分がイメージしていたことと違うことが多いので、できるだけ会った方は採用させて頂いて、その人に合った仕事をしてもらうというケースも少なくありません。
前職などの経歴にもあまりこだわっていません。他のキャンプ場を辞めた方を採用したこともあります。一見すると、余り戦力にならないかもしれないという人が、意外に大きな戦力になってくれたこともあります。
もう一つ採用の際に気を付けているのは、良い意味で「余り期待しない」ことです。前職や、印象の良さなどから「この人はやってくれるかもしれない」とこちらが大きな期待をしてしまうと、その期待が膨らみすぎた分、マイナスになってしまうためです。こちらが勝手に期待をしてしまうのは結果的にはマイナスになることが多いので、良い意味で期待をしないように気を付けています。
同キャンプ場の採用情報のページには「求める人物像」の他、「昨今のキャンプ業界について」という欄もあり、業界の現状を分かりやすく紹介している。
そして「採用担当からのメッセージ」は下記のようになっている。
「キャンプアンドキャビンズには本当に多岐にわたる仕事があります。だから最初はちょっと惑うかもしれません。しかし、最初からすべてを完璧にこなせる必要なんてないんです。できるものや得意と思えるものから取り組んでもらえればいいと思いますし、最初は苦手なものでも、段々にできるようにしていっていただければいいと思っています。
また、失敗は誰にでもあるし、失敗したからといってダメだなんてことも言いません。
そうした失敗からも学んで、次に同じ失敗をしないように成長していっていただければと思います。
ここにはたくさんの人が働き、それぞれが自由に自分の考えを言える環境があります。
だから、時にはまったく違った意見もあることでしょう。しかしそうした違う意見にも耳を傾け、自分との違いや目的に対するメリット等を考えていくことで、もっと新しい取り組みにしていくことができるでしょう。
そういったことを柔軟に考え、一緒にお客様の楽しい時間を作っていくことのできる方と一緒に働いていきたいと考えています。
池上氏から聞いた話のエッセンスが「採用担当のメッセージ」に込められているようだ。
《キャンプ・アンド・キャビンズ採用ページ》
https://www.camp-cabins.com/news/yamanakako-saiyou.html#5
2)キャンプ場スタッフ募集の実態調査(2022年5月)
1年以上の長期雇用求人に際しては「知人や友人の紹介」や「ハローワーク」を利用しているキャンプ場が多く、続いて「民間の求人サイトを利用している」が続いた。一方でSNSに求人募集の投稿を行っているキャンプ場も散見され若者を積極的に採用しようとしている様子が窺われる。また、正社員や長期働いてもらう方を雇いたい場合には自社サイトに掲載する場合も高いという結果となった。
シーズンアルバイトなど短期雇用求人に際しては「知人や友人の紹介」が圧倒的に多い結果となった。続いて「ハローワーク」「民間の求人サイトを利用している」が続いた。また、自社サイトに掲載する他に、同程度にシルバー人材センターを活用しているという結果になった。
求人の苦労している職種として「受付・フロント業務」が圧倒的に多く、反対にSNSやWebサイトの更新、幹部候補、レジ対応など比較的専門性の高い職種のニーズは高くなく、ジェネラリストを求める傾向が高いことが伺える。
短期アルバイト募集によく使う求人サイトとしては「Indeed」が圧倒的に多く、続いて「タウンワーク」「マイナビバイト」という結果となった。
(日本オートキャンプ協会 事務局編集部)