キャンプ場特化のネット予約システムにも様々な選択肢が登場

キャンプ場特化のネット予約システムにも様々な選択肢が登場

■いまだに半数のキャンプ場はネット予約非対応。その理由は、、、

ホテル業界から少し遅れてキャンプ場もウェブ予約の時代に入った。キャンプ場のウェブ予約(メールも含む)を採用しているオートキャンプ場は18年29.1%、19年32.7%、20年40.0%(オートキャンプ白書2021)と年々増えており、半数を超えるのも時間の問題だ。今だインターネット予約を採用していない理由を見ると「電話対応重視」45.8%、「財源の問題」22.2%、「インターネット環境が整っていない」22.2%、「インターネットを操作できる人材がいない」18.1%(オートキャンプ白書2021)など、特にインターネット環境については、都市部から離れた場所にあるキャンプ場にとっては、都市部にある宿泊施設と比較すると、どうしてもハードルが高くなってしまう。

「オートキャンプ白書2021」より

現在キャンプ場のネット予約は、大きく①メール、②オリジナル予約システム、③市販の予約システム、④予約サイト、の4つに分かれる。近年伸びているのは、キャンプ場予約サイト「なっぷ」を代表とする「予約サイト」と提携する方法だ。
これまでキャンプ場予約サイトは、大手企業としては旅行予約サイトの「じゃらん」のみで、キャンプ場予約に特化した予約サイトは、キャンプ場のネットワークから生まれた「キャンプネット」やアウトドア用品メーカーの「ロゴスコーポレーション」など限られたものしかなかった。「なっぷ」の登場により、キャンプ場の予約の状況は大きく変わり、多くのキャンプ場は予約サイトのシステムを活用してインターネット予約を導入するようになった。最近では、アウトドアウェブメディアの「TAKIBI」「hinata」なども予約サイトを導入している。

■選択の幅が広がったキャンプ場特化の予約サイト

キャンプ場予約サイトの手数料は、その多くが、利用料金のパーセンテージとなっているが、昨今では月額無料からはじめられるものもある(STORES予約RESERVASELECTTYPEなど)。後述するSNS集客を軸にターゲット顧客を絞ったアクテビティなどをセットにした高付加価値高単価で祝日や毎週末の十数組限定営業のセミプライベートキャンプ場なら十分かもしれない。また、英語・中国語・韓国語・タイ語と世界196ヵ国のタイムゾーンに対応し世界85通貨マルチカレンシー表示ができるサービス(レゼルバ)などもある。コロナ後のインバウンド再来にも備えられそうだ。他にもキャンプ場のドローン撮影で、キャンプ場とのネットワークを作って来た「キャンプイズム」ではキャンプ場予約サイトの手数料は、その多くが、利用料金のパーセンテージとなっているが、同サービスでは定額制※を導入。月々16,000~28,000円(キャンプ場の規模による)でインターネット予約導入とキャンプ場認知度UPが可能になる。ホテルなどの宿泊施設の予約システム「予約番」を活用し、キャンプ場の予約を行うためシステムの信頼性も高いという。現在約20箇所のキャンプ場が導入を開始しており、定額制という導入しやすい制度から、今後さらにキャンプ場のインターネット予約の数も伸びることが期待される。

《参考リンク》
【無料あり】キャンプ場におすすめの予約システム5選

https://officialmag.stores.jp/entry/reserve-reserven-system-camp

■SNS活用でOTA依存から脱却の動きも

これまではOTA(オンライン・トラベル・エージェント)が送客も兼ねていた部分も大きかったが、InstagramやTwitter、LINEなどの普及拡大に伴いSNSがより身近なものとなってきた。老若男女問わず1日に何度もチェックする人も多いだろう。その結果、キャンプ場自らアカウントを持ちフォロワー数を増やすことで容易に直接キャンプに関心のある個人と繋がり、双方向でコミュニケーションを取り相手ニーズを察知しながら集客できるようになった。特に日常的にSNSを使用している世代では、インターネット検索(GoogleやYahooなど)をほとんど利用せず、InstagramやTwitterの「ハッシュタグ検索」や「発見タブ」を使用しているという調査結果もある。「10~50代の男女1000人に実施した調査では、5割以上が情報収集などでSNSの検索機能を使う」(日経新聞の記事)そして、SNS特有の「タイムリー性」や数多くの口コミから「自ら情報を取捨選択できる信頼性」の強みにより、購買意思決定への影響力も高いという。

現在、大手OTAの中には条件を見直す動きもあるようだが、SNSを有効活用すれば、「送客」も「オプション」の一つとして捉え、予約サイト選び選択肢の視野を広げることも可能になる。仮に送客手数料だけで年間◯百万円費やしているとしたら、その機能をSNS専門のマーケティング会社にコンサルを依頼し、「送客不要」のシンプルな予約機能だけのサービスを選ぶことが可能になる。そして、そこで生まれた余剰利益を優れたスタッフ人材の開拓や育成、施設設備の増築補修、新サービス開発に投資するという、存在価値を高め持続的な成長軌道にシフトする経営判断もあるかもしれない。一方で稼働率が上がらずキャンプ場としてのブランドや知名度が不十分であると感じるなら、まだまだOTAを活用する価値はあるだろう。現状の自キャンプ場の月間予約数の規模や経営スタイルと各社サービス特性を比較しながら、再点検してみてはいかがだろうか。

(日本オートキャンプ協会 編集部)