プライベース河口湖
「キャンプ=難しいとお考えの人達に」
子供の頃に通ったトレーラーハウスを何か利用できないかと住宅会社で働く杉浦直隆氏は、「バリアフリー×プライベートキャンプ」のコンセプトのキャンプ場を考えた。個人でもキャンプ場を作る人が増えている中、来春のオープンに向けて、準備を進めている杉浦氏に、なぜ「バリアフリー仕様」のキャンプ場を選んだのかを伺った。
今回のキャンプ場用地は子供の頃、別荘のように使っていた河口湖近くの100坪程の場所で、20年前のトレーラーハウスと小屋が放置された状態でした。
土地の活用を考えた時に、義理の母親が車いす生活になり、周りの人に遠慮したり、自分がしたいことをあきらめている姿を見て、障がいのある方がキャンプができる場所を作れないか、と思ったのがきっかけです。
昔からの友人3人で、昨年の10月から、ジャングルと化していた土地を「開墾」し、床まで使えなくなっていたトレーラーハウスを、一部をプロにお願いしながら完全にリフォーム。室内にあったものを捨て、天井から床まで剥ぎ取り、断熱材を入れ直し、バリアフリーのトイレや水道を取り付けました。これから電動式ベッドを設置して、常設のテントだけでなくトレーラーハウスでも宿泊していただけるスタイルを考えています。ターゲットはキャンプ経験のない方が中心なので、テントを予め立てるなどのキャンプのハードルを出来るだけ低くして、より沢山の人に利用してもらえる施設になればと考えています。広さおよそ100坪程なので、1日1組限定。そもそも障がいのある方はキャンプをどのようにとらえているか議論しました。そこで周りの障がいを持つ人達やその周りの方々に自分の考えている事を話してみると、是非作って欲しいという声を聴いて、やってみようという思いにいたりました。バリアフリー施設は障がいを持った方だけでなく、誰にでも使いやすい施設になります。特に障がいがあるというだけで「キャンプを難しいとお考え人」達にキャンプの楽しさをお伝えしたいと考えており、運営方法を検討中です。
仲間の1人が福祉関係の仕事をしているので、バリアフリー仕様の施設を作るにあたってはそのノウハウを活かして作りました。これからトレーラーハウスの周りにウッドデッキを作る予定ですが、その資金はクラウドファンディングで調達。障がいを持つ方やその関係者の他、一般の方でも興味を持ってもらい約160万円が集まりました。クラウドファンディングのリターンとしては、「おもてなしデイキャンプ」や「おもてなしキャンプ」、キーホルダーやシェラカップなども作りました。キャンプをする中で車イス用のキャンプギアが無いことに気づき、クルマイス用のペットボトルホルダーも作りました。
現在来春のオープンに向けて準備を進めていますが、将来的にはアウトドアでの介助する人についてもらうプランや、河口湖という観光地にあるので、個人旅行の宿泊先としても活用してもらえないかと考えています。
インタビュー:杉浦直隆氏
A-Connect Camp合同会社 代表
キャンプ歴は7~8年程、住まいが東京なので山梨方面でキャンプをすることが多いという。
(取材・執筆)日本オートキャンプ協会 事務局