アウトドイノベーションサミット2020が開催
2020年12月17日と18日の2日間に渡り今年で4回目となるアウトドイノベーションサミット(株式会社スペースキー主催)が開催された。新型コロナウィルス感染症対策として今回は完全なオンライン開催となったが、アウトドア関連の事業者が300以上参加し、例年と変わらない盛況ぶりを見せたようだ。
今回のテーマではアウトドアレジャーの持続可能性実現に向け、「変わるべきこと」「変わらないこと」という2つの枠組みから、様々な講演が行われた。
アウトドアイノベーションサミット
1日目『アウトドアの教育的効果とその活用機会』とした講演では子供をアウトドアに連れ出すことでどのような効果があるのか、様々な角度と視点で事例が発表された。続く『アウトドア×新しい働き方』に関する講演ではコロナ禍でリモートワークが定着し、自然や健康への関心が髙まる中、新しい働き方として、休暇先でレジャーとリモートワークを組み合わせる「ワーケーション」が注目される中、環境省、キャンプ場、社員の利用を推進する企業の3者が集い、それぞれの立場で現状と今後への期待や課題について議論がされた。
「休暇の場にまで仕事をさせようとしている」と考える向きに対しては「新しいモノを生み出す機会」と捉え直すPRの大切さや、「子どもの学校があるため長期ワーケーションが難しい」という課題に対してどう解決していくか等、官民の取り組みが語られた。
1日目の最後の講演は『日本のアウトドア・レジャーの先行き』というテーマで、今のアウトドアブームのマジョリティが大量消費から変わっておらず、オーバーツーリズムなど環境負荷を高めておりサステナビリティになっていないことへの危機感が伝えられてた。講演では「アウトドア・レジャー」を「自然の中に身をおき、自然をつかって楽しむこと」と定義し、そうした思想や活動を普及させる目的で観光庁や各関連団体などでアクティビティごとのガイドラインを策定し、ライセンス制度を検討・準備しつつあることが語られた。
2日目午後には小泉進次郎環境大臣が登場し、脱炭素社会に向けたEV(電気自動車)の促進、再生エネルギーの促進、プッラスチック削減への協力などアウトドア関係者と一丸となって取り組んでいくための応援メッセージが伝えられた。その後には「気候変動アクション」や「アウトドア活用で目指す地域振興」の講演が続いた。
キャンプイノベーションサミット
その後2日目16時からはキャンプ場だけが集まる「キャンプイノベーションサミット」が開かれた。
前半では「世界のキャンプ事情から学ぶキャンプの可能性」というテーマでなっぷ担当者から日本と欧米や近隣アジア諸外国のキャンプ場の比較がデータを元に語られた。日本のキャンプ場の稼働率が16%程度なのに対して欧米では30~40%とかなり開きがあること、利用者の平均滞在日数の違いやキャンプスタイルに対する考え方の違い、それらニーズにあわせたキャプンプ場や検索・予約サービスの違いなどが語られた。
後半では「キャンプとシェアの関係性」とういテーマで、キャンプブームの中で山林を購入しプライベートキャンプ場をはじめる人々が話題になる中で、様々なモノやサービスに対してITを駆使した「シェアリングビジネス(エコノミー)」が拡大している関係性から「タイムシェアリング」の可能性などがなっぷ担当者から語られた。
2日間を通して、このコロナ禍を通して「持続可能社会」などこれまでもう少し先と考えていたキーワードがよりリアリティを持って感じられ、それが以前に増して加速したことが実感させられた。